松江・ホリデーサロンだより

ALS患者・谷田人司さんの主催で、月に一回開かれているサロンです。

2013年11月のサロン

2013年11月のホリデーサロンにつき、参加してくれた学生の河原さんが書いた文章を掲載します。

 1123日、谷田さんのご自宅でサロンが開催されました。このサロンに参加するのは2回目で、ご自宅に伺ったのは初めてでしたがとても綺麗で居心地がよく、あっという間の2時間でした。玄関からリビングまで段差がなかったり、廊下が広かったりするなど車椅子が通りやすい部屋のつくりになっていると思いました。

 今回は参加者の方の近況報告が主な話題でした。ある参加者が、9月にお母さんと行かれた4泊5日の九州旅行で訪れた場所などを日程に沿ってお話していただきました。九州はほとんど行ったことがなかったため、どの話も新鮮でとても楽しく聞かせていただきました。

旅行中はヘルパーさんを頼み、車を運転してもらったり入浴介助をしてもらったりしたそうです。身体が不自由だったり車椅子だったりすると旅行中にさまざまな困難に出合うと思いますが、ずっとヘルパーさんについてもらうことでそうした心配がぐんと減るでしょう。どれだけの人がこうした制度を知っているか分かりませんが、楽しんで旅行をするためにはとても良い制度だと思います。

また、お話の中で行く先々での身障者用トイレの話が印象的でした。特に鹿児島の知覧町の設備が整っており、天井につり革が何本かぶら下がっていてその横につり革の使い方についての説明書きもあったそうです。一般的には手すりがついている所が多いですが、そのつり革は手すりが使いにくい人のために設置されているようです。身障者用トイレはよく見かけますが、内部を見たり使ってみたりする機会はなかなかありません。やはり使用する方の意見・要望を取り入れ、誰でも使いやすい身障者用のトイレへ改善していってほしいです。

普段の私たちの視点では気付かない所もたくさんあります。小さなことかもしれませんがこうした方々の視点を大切にし、観光地などに限らず、改めて誰もが生活しやすいバリアフリーな環境を整えていく必要があると思いました。

2013年9月のサロン

 9月28日、谷田さんのご自宅でサロンが開催されました。最近は、参加人数が少なくなっています・・・。参加者の近況のほか、介護と仕事の両立という問題が話題になりました。ここで出た話のひとつを紹介しておきましょう。

 介護が必要な病気にかかりますと、不足はあるにしても、さまざまな支援制度がありますので、それらを利用することになります。しかし、そうした支援はもちろん自動的に受けられるわけではなく、どんな制度があり、どこでどんな手続きをしなければならないかといった情報をまず手に入れる必要があります。

 そうした情報を手に入れるには、ソーシャル・ワーカーさんであったり、地域包括支援センターの方などに尋ねてみるとよいかもしれません。このサロンのように、同じ境遇の先輩に訊く機会があると、もっとよいかとおもいます。誰か詳しいひとがいないと、なかなか分からないですね。

 情報を手に入れたとして、今度は手続きをしなくてはなりません。仕事をしながら家族の介護をするときにたいへんなことのひとつはこの手続きで、窓口が開いている時間に役所へ出かけようとすると、仕事を休まねばなりません。また、書類をきちんと揃えるまでに、何度も通わねばならないこともよくあります。

 介護が必要な家族がいれば、それだけでも仕事を休む必要が出てきたりするのに、書類の手続きでまた休暇をとらねばならないとなると、これもなかなか困ります。

 病気になると、病気以外のことで困ることがたくさんあり、こうした手続きの問題もそのひとつです。こうした事柄は、たとえ画期的な新薬や治療法を開発することができなくても、ちょっとの工夫や協力で解決できるはずではないでしょうか。(もろおか)

2013年7月のサロン

2013年7月27日のサロンは、谷田さんのご自宅で開催されました。

参加者それぞれの近況を中心に歓談しました。そのうち、レスパイト入院時の苦労といった話にもおよびました。

大野更紗さんの『困ってるひと』ではないですが、難病に罹ると、たんに病気から発する身体的な苦労だけでなく、ある意味ではそれ以上に、制度や人間関係にかかわる苦労もふりかかってきてしまうようです。病気になっても安心、という環境にしていきたいものですね。

(もろおか)

2013年6月のサロン

6月22日、谷田さんのご自宅でホリデーサロンが開催されました。

今回は、6名の参加がありました。

さまざまな話題が出ましたが、とりわけ印象的だったのは、知識として病気のことがいくら分かっても、その病気の扱い方や、生活の応援の方が大切なんだというお話でした。(もろおか)

 

2013年5月のサロン

5月25日、谷田さんのご自宅でホリデーサロンを開催しました。参加者は、取材の方を含めて、7名でした。そのうち毎日新聞に記事が出るんでしょうか。

  • レスパイト入院中のコミュニケーションボランティア支援制度のお話。支援制度がちゃんとある県もあれば、ない県もある。市でやるという手も。
  • ALS患者にとって、レスパイト入院が苦痛であるというお話。たとえば、手間がかかる、あるいは「危ない」というので、トイレにもいかせてくれない。そのため、患者が個人的に病院までヘルパーさんを呼ぶというようなこともある。
  • 車イス一般のお話。車イス生活向きの賃貸住宅を探そうとすると、これもまたトイレが難しい。なにせ、トイレのドアの幅が小さすぎるところがほとんど。車イス向きの建物もあるにはあるようだが、情報収集がなかなか困難!
  • 泊まるホテル。東横インのハートフルルームはなかなかいい。2008年の硫化水素発生事件の話にまでなったが、これをまっさきに取材したのは谷田さんだそう。
  • 在宅生活に必要な、患者家族対象のケア講習会というものがない。また、病院で教わるやり方は、手間がかかりすぎるなど、かならずしも日常生活向きではない。家族の側で試行錯誤して、いい具合のやり方を見つけていく。
  • それまであまり思っていることを言わなかった人が、病気になって思っていることを言うようになったという話。これはよいこと。

・・・と、こんなかんじで、今回もいろいろな話になりました。次回は6月22日です。(もろおか)

2013年4月のサロン

4月27日、今回はイングリッシュガーデンではなく、谷田さん宅にてホリデーサロンが開催されました。患者家族を中心に、6名でのサロンとなりました。

今日は、かつての患者家族をめぐる状況などの話が出てきました。ここ十年ほどで、大きく状況が変わったとのお話しでした。ALSが数の少ない難病であること、また島根県内となるとさらに患者・家族の数が少なくなることから、志のある方のひとつひとつの取り組みが大きな意味をもつことを感じました。(もろおか)

 

2013年1月のサロン

2013年1月28日、ホリデーサロンが開催されました。あいにくの悪天候ではあったみたいです。以下のように、参加した学生の河原彩織さんがレポートを書いてくれました。(もろおか)

 


 今回のサロンは天候が悪いこともあって私と谷田さんの奥さんの2人だけでしたが、とても楽しくお話させていただきました。私は今回のサロンに参加するまでALSという病気を全く知らなかったので、そうした病気があるということを知ることができただけでも1つ勉強になったと思います。
 簡単な自己紹介から始まり、いろいろなお話をさせていただく中で心に響く言葉がたくさんありました。どの言葉にもとても説得力があり、納得し感心するばかりでした。


 主にお話したことは、
①人生何が起こるか分からない
②病気になったからこそ頑張れているわけではなく、今まで前向きに頑張ってきたから今も頑張れている
③人生ってその人が時間をどう使うかだよね
④今年の目標について
などでした。


 ①については、病気をしたことは思いがけないことだったけど、今は幸せだとおっしゃられていました。私もこれまで思った通りにいかないことも多く、そのことに悲観的になっていたので、思い方次第でその状況を異なる視点から捉えて良いところを見つけることができるようになりたいと思いました。
 ②については、私が番組を見て「頑張ろうと思った。勇気をもらった。」などの感想を言ったところ、佳和子さんがこのようにおっしゃられました。たしかにいざ頑張ろうとしたところで、それまでの積み重ねがないとどのように頑張っていけばいいか分からないだろうし、他のことと同じように急にはできるようにならないものです。谷田さんが長年記者として頑張ってこられたことがあったからこそ、今もさまざまなことに取り組まれていてその存在だけで頑張ろうと思わせてくれるのだと思いました。
 ③については、この言葉はある人から聞いた言葉だそうで、私が最も印象的に残っている言葉でもあります。ちょうど今、授業もなくたくさん時間がある中でずっと寝ていたら1日が終わってしまったという生活をよくしてしまう自分に腹が立っていたので、この言葉を聞いた瞬間生活を見直さなければならないと改めて強く思いました。お話の中では、年老いた時に好かれる人と嫌われる人に分かれるということや、イチローのようなすごい人は毎日の動き(朝起きてから寝るまでの動き)が一緒であるということをおっしゃられていました。これは②の話と通じる部分もありますが、積み重ねがある人はどのようなことが起こっても強く生きていくことができるのではないかと感じました。私は、先に述べたように生活リズムがとても不規則なので、まずは生活リズムを直すところから始めていきたいと思いました。
 ④については、私の目標は「素直になること」であるのに対して、佳和子さんは「脱皮の年にしたい」とおっしゃられていました。それは今年がへび年であることと関連しているそうです。他の干支もそうですが、へび年12年に1度しかやってこないため、これからの12年をやっていくために脱皮をしたいとのことでした。これは私の目標とも似ていると思ったので、私も「脱皮」を目標に頑張っていきたいと思いました。


 私は「一期一会」をとても大切にしているので、今回のサロンへの参加して良かったと心の底から思っています。また機会があればぜひ参加したいです。ありがとうございました。