松江・ホリデーサロンだより

ALS患者・谷田人司さんの主催で、月に一回開かれているサロンです。

2012年1月のサロン

2012年1月27日にホリデーサロンが開かれました。参加者は6名でした。

以下、参加者の黒田がサロンのようすを記録してくださったものです。(もろおか)

<それぞれの年末や新年の様子>

<写真の趣味>

写真の趣味のお話。渡里彰造氏の「写真教室」のつながり,参加者のあいだに共通の知りあいがいることも判明!

<日本ALS協会(総会)>
5月26日に東京で開催される日本ALS協会の総会への参加について会場や宿泊場所等の確認をする。昨年は,宿泊施設の浴室に手すりがなくて大変だったとのこと(今回は浴室付きではない部屋を予約しているとのこと)。宿泊施設内の大浴場にしても障害者対応ではないので,どちらにしても利用は大変。

<このサロンのことなど>
(手作りの黒豆蒸しパンを頂戴しながら)この会は,刺激を与え合うということに重きをおいているわけでもなく,かなり自由な感じでやっている。リセットのつもり,というのもある。負担が重くなったり義務感が大きくなると,ここに「来たい」という気持ちにはならない。
常連のもとしげさんは,基本的にここに来たいという気持ちがあるから,同じ日に名画劇場などに参加した後,こちらに来ることもあるという。ちなみに,最近観た映画のなかでは「火火(ひび)」という作品がよかったという感想を述べる。内容=女性陶芸家(信楽焼)の草分けであり,息子が白血病に罹患したことから,骨髄バンクの立ち上げにも尽力した神山清子さんの半生を描いた映画。
映像といえば,2月11日に谷田さんのドキュメンタリーが1時間くらい全国放映される。それは今の楽しみの一つであり,自分の活動が社会的につながっているという意識がある。

<参加者ひとりひとりの身の回りのことについて>

親の介護については,自分がどう納得するかという問題なんだろう…との発言も。皆さんどのようにされているのかな,という感じ。夫のケアと親のケアをどちらも担っていくのはかなり大変だから無理をしないで,と周りからは反対の声がある…けれど…という思い。入院体験による「病院」の比較話なども交えて,施設といっても「人」に対する扱いはかなり異なるという体験談などが続く。

2011月12月のサロン

12月24日、雪まじりのクリスマス・イブのホリデーサロンとなりました。ヘルパーさんたちの参加もあり、13名での会となりました。(もろおか)

[鉄道と車イス]

  • 車イスで乗るには、駅員さんの介助が必要。木次線に乗ろうとしたら「平日に乗るな、終電乗るな、一週間前に予約せよ」と言われた。しかし、しかるべき団体に相談しますよ、と言ったら対応を変えてくれた。
  • また、「雪が降ったらお断りです」と言われたとの話。電車が雪で止まったならわかるが、止まってもいないのにおかしいのでは。
  • 宍道駅は、車イスで運んでもらうのに四人かかる。それに、車イスで「おみこしをかつぐように」運ばれるのはかなり怖いこと。加茂中駅が比較的便利。
  • 本当は、誰でもふつうに乗れることが大事。現状では鉄道を使うのもたいへんなことだが、地道に使って、使いやすさの向上に結びつけたい。
  • (→後日談として、サロンの帰り、JRの人にはすごく親切にしていただいて感謝であったらしい・・・)
  • 横田出身の方どうしで、ひとしきり地元話。


[「やくも」や新幹線]

  • 車イスで「やくも」に乗ると、デッキで待つかっこうになる場合がある。乗客の乗り降りがあるたびに移動しなくてはならない。車両内の車いすスペースは「席」じゃないので、予約はとれない。たまたま空いているのを期待するしかない。
  • 新幹線は車イス用の部屋があって、予約もできる。シートもベッドみたいになる。コンセントもある。大きい車いすでも大丈夫。使う人がいないときは、車掌さんの休憩室になるのだとか??


[バスの話]

  • 車イスで乗る時は、乗ることができるタイプか、予め問い合わせるなどする。
  • 車イスが二台乗り合わせると困るケースがある。ただ、市営バスでも、車いす二台乗せられるようなものも出てきた。
  • ときどき急に、「点検のため」といって車イス用のリフトのないバスが来る時がある。
  • 一畑バスから市営バスにかわったある路線について。一畑バスのときは電話での確認時に車いす用のバスをやりくりしてくれたが、市営バスは都合してくれない。
  • 循環バス以外は車イスに不便な「階段式」が多い。平日はほとんど、車イスにのれない「階段式」。その場合は、一畑電車などに乗らなくてはいけない。
  • なんでも、バスの架線がひっかかる箇所があって、リフト付きバスが配備できない路線があるらしい。
  • 米子や鳥取にある小型バス(チョロQバス?)を配備してもらえれば解決する話。なぜか鳥取の方が進んでいる。鳥取は狭い路地は、小型のバスでまわっているらしい。
  • 松江周辺のコミュニティバスも、車イスでは乗れない。
  • 車イスに対応した交通機関をたどって、頭使わないと、スケジュール調整ができない。


[バリアフリーに関する情報]

  • 鳥取は、バスの時刻表やホームページに車いすマークがついていて、とてもよい。バリアフリーマップを全県でつくっているところは進んでいる。
  • 松江市では、「てくてくマップ」というものがある→サイトアドレス<http://www.city.matsue.shimane.jp/jumin/machi/kikaku/tekuteku/>
  • 島根県では、1982年のくにびき国体の時につくろうという機運が盛り上がっていたが、そのあとは潮が引くように取り組みがなくなってしまった。
  • この手のマップは更新されないと意味がないところがむずかしい。実際に使ってみるとちがっていることも。


[バリアフリーの問題、全般に]

  • 松江の場合、松浦現市長の前任・宮岡寿雄さんは福祉への関心が高い人であった。松浦さんもわりあい理解があるとのお話。
  • 東京からきた人がバスの対応の良さに驚いていたこともある。どうしても不備の方が目立ってしまうが、住んでいるとわからない良さもあるのかもしれない。
  • 市営バスで、車内で転んで怪我をしてしまったエピソード。→病院や警察など窓口が複数あるので、ワンステップで受けつける窓口が必要では。
  • 「苦情」じゃなくて、「提言」や「アイディア」を。被害者意識を出さないようにすることが大切。「苦情」となると、むこうが謝って終わってしまう。
  • 車イスで使いやすいということは、年輩の人や妊婦さんやこども、みんなに使いやすいということ。「いまあまり使う人がいないから」対応しないというのではなく。使いやすくなればもっとみんな使うかもしれないのだから。

 

[レスパイト入院について]

  • レスパイトのとき、慣れない人、コミュニケーションがとれない人だと困る。→数ヶ月経って、看護師さんもだいぶ慣れるように。相互に慣れる過程が必要。
  • 「伝の心」など、パソコンを使ってコミュニケーションをとるには条件が揃わないといけない。例えば、離床時や側臥位では使えない。透明文字盤をカスタマイズして使うなど工夫する。

2011年11月のサロン

2011年11月26日、ホリデーサロンが行われました。参加者は8名でした。以下、参加した学生の佐藤君が書いてくれたサロンのようすです。なお、ブログ向けにすこし内容の手直しをさせてもらいました。(もろおか)

 今回のホリデーサロンは、谷田さん夫婦を含む計8名で行われました。全体の大まかな流れとしては、自己紹介、病気の進行具合、生活や仕事において不便なこと、談話といったところです。今回は、ザックバランに話してきましょうということで始まりました。

 参加者のなかには、岡山から片道三時間かけて、自分で車を運転して松江にいらした患者さんがいらっしゃいました。ホリデーサロンに参加したのは約一年ぶりだそうです。筋萎縮性側索硬化症を告知されてから4年になるそうですが、病気の進行具合は遅いそうです。足が不自由で普段は杖を突いているそうですが、日常生活において身の回りのことは自分でしているそうです。しかし、食べ物を飲み込むことに不安があるため、奥さんに離乳食のようなものを作ってもらっているそうです。現在は、仕事場まで、自分で運転をして行っているそうです。
 他の参加者から、奥出雲での車イスでの生活についてお話しがありました。家の中にある段差などのバリアに苦労しているそうです。また、奥出雲町は都市部から遠く、なおかつ路線バスやヘルパーさんの数も少ないため、外出がしにくいそうです。また、奥出雲町にはノンステップバスがないと仰っていました。また、コミュニティーバスには車いすが乗れないため、残る交通手段はタクシーしかなくなるのですが、奥出雲町から都市部までタクシーで移動すると運賃が非常にかかるそうです。
 会話の中で、医療施設の整っていない田舎は不便であるというお話しが出ました。難病の病院は都市部の大病院でしかやっていないため、そこに赴くまでに時間とお金がたくさんかかるそうです。しかし、高齢者が増えニーズが高まるであろう田舎にこそ、医療施設は必要であると仰っていました。また、医療支援が市町村ごとに違うことも気にされていました。
 
 日常生活での工夫として、車の移動ではクッションを使い疲れにくくしているという話がありあました。また別の方は、お尻が痛くなるので車に乗るときはリクライニングを倒して座っているそうです。また、首を安定させるためでもあるそうです。

 病気になってから専用の駐車場を作ってもらうという配慮を会社にしてもらったとのお話がありました。しかし、会社が古い建物であるためバリアがたくさんあるそうです。また別の方は、会社でこけてから勤務場所が変わったそうです。会社にバリアフリーを要求したら自宅勤務を命じられたそうです。逆に、在宅勤務を申請したのですが、会社に却下されたというお話もありました。
 介護保険について、市町村によりサービスが違うため、申請してから書類をそろえるまでがしんどいそうです。役場のサービスがわかりづらいという指摘もありました。もっとサービスがあることを強調してほしいと仰っていました。特に小さな字でサービスがかかれている時は悲しいそうです。病院や役場を行ったり来たりしながら、書類の不備を訂正するのは、時間とお金がかかりとても大変だそうです。自分たちはまだ若いから理解できるが、高齢者の方には難しいであろうと仰っていました。専門の窓口があればうれしいという声もありました。書類を提出しに行く日は、一日仕事を休まなければならないというお話もありました。

 

 イングリッシュガーデンは目の保養になるそうです。来る時に見た水仙がきれいだと仰っていました。昨年は雨だったため見ることができなかったそうです。

 

2011年10月のサロン

10月22日のホリデーサロンでは、7名の参加者がありました。

以下、参加した学生の干村さんが会のようすを記録をしてくれたものです。

【東京の患者さんのところへ行った話】

  • いわゆるTLSの患者さん。瞬きもできないので目をつむった状態。目薬を入れて、完全にくっついてしまわないようにしている。
  • 高校生の息子さんがいて、お父さんらしい雰囲気をしていた。
  • ヘルパーさんの話によると、コミュニケーションはとれないが、奥さんが部屋に来ると、表情がふっと変わるようなことがあるという。若干の変化。


【生活上の不便なこと】

  • 体重の管理が大変。食事の量を減らしても体重が増える人。痩せないように、太りすぎないようにしている人。
  • トイレでの方向転換など、車いすから降りたり乗ったりする動作が難しい。
  • 手先の細かな作業(字を書いたり、錠剤を取り出したりすること等)
  • 最近は、のどが締め付けられる感じがして声が出しにくかったり息がしづらいことがあり、会話にストレスを感じることがある。
  • 指先の運動としてピアノを弾いたりしている。
  • 一人で家にいるときの転倒が心配である。
  • 1日数回電話をかけることで無事を確認している。
  • 転倒した経験から、横着をするのではなく、時間がかかっても安全な方法をとるのが一番であると感じた。


【物を大事にしている】

  • 服などが捨てられない。誰かにあげるのならいいけど、捨ててしまうのは難しい。
  • 近藤麻理恵の片付け術。ときめかない物は捨ててしまう。
  • バザーや友の会に持っていってもらってもらうというアイディア。


【夫婦間のコミュニケーションについて】

  • 夫婦げんかはとくにないが、コミュニケーションが上手くとれないことにイライラすることがある。もしくはコミュニケーションが上手くとれないことをあきらめてしまっている。
  • 声が聞こえなかったり、聞こえたかと思って聞き返すと何も言っていなかったり。
  • ワイヤレスマイクをつけるといいかもしれない。


【寝たきりになってしまったら】

  • 実際にいろいろな患者さんに会うことでこれからどうしていったらいいか考えている。
  • 呼吸器を外すか外さないかという問題が出てくることもあり、意識はあるが意志を伝えられない人はどう思っているか分からないということがある。しかし、実際は皆死にたくないと思っているのではないか。
  • 意識はあるが意志を伝えられない人は意志が伝えられなくてもどかしいと思っていると思われるが、もしかしたらそうではなく、生きていることを実感しながら生きておられるのではないか。
  • 東大の障害学の教授は、目が見えず、耳も聞こえないが、指先の感覚で会話をしている。


【うつ】

  • なんでうつになってしまったんだ、なんで自分が、と思う人がいるが、今はこういうステップなんだ!と客観的になれるといい。
  • うつに陥る状況はいつまでも続くことはないので、この時期は人の痛みが分かるようになったり多くのことが吸収できる時期だと思う。
  • この時期を乗り越えたことで敏感になって人に優しくできるようになった。
  • 家族の病気のことを知ったとき、受け入れられなくて少しうつになった。世界が色をなくしたような、色はあっても輝きがないような。
  • スポーツをしてみたり、悩んでるだけではダメだと思うことでこれからのことを考えられるようになっていった。


【言葉について】

  • コミュニケーションで困るようになってからは言葉に対して敏感になった。丁寧につかったり、いい言葉がすっと入ってくるようになった。いい言葉を聞くことができると充実した気持ちになる。
  • 言葉遣いに不快感を感じる相手に対して、自分が考え方を変えて接すれば、相手の対応も変化していく。

だんだんサロン 2011年8月

こちらは「ホリデーサロン」とは別に、谷田さんが主催されている「だんだんサロン」のサロン便りになります。だんだんサロンは松江医療センターで開催されています。このサロン便りは、2011年8月11日のものです。

https://docs.google.com/open?id=0Bz-R731zx7oPdDJ5N0VWZTZRMlE

2011年7月のサロン

2011年7月23日に開催されたホリデーサロンと、8月27日に開催されただんだんサロンのようすについて、下記のリンクから「サロンだより」を読むことができます。ホリデーサロンは松江イングリッシュガーデンで、だんだんサロンは松江医療センターで、それぞれ月一回開いています。

https://docs.google.com/open?id=0Bz-R731zx7oPclQ3Tl9Mdk8tMlE